状態像診断???
状態像診断???
全く聞いた事が無い言葉ですよね。しかし、精神科・心療内科では病名を付ける際に、この「状態像診断」を非常に良く使います。その理由は「私の病名って何ですか?」で詳しく説明した通り精神疾患の病名を付ける事が非常に難しいからです。
皆さんがイメージするのは、うつ病、統合失調症、パニック障害など「○○病」、「○○症」、「○○障害」と言った病名だと思います。御想像通りで精神疾患の病名は、ほぼ「○○病」、「○○症」、「○○障害」の3種類に大別されます。
しかし、状態像診断では「うつ状態」、「不安状態」、「幻覚妄想状態」の様に「○○状態」と言う病名を使用します。読んで字のごとく、状態像とは患者さんがどの様な状態にあるかを表しています。例えば、うつ状態では「気分が晴れない」、「やる気が出ない」、「頭の働きが悪く集中出来ない・決断出来ない」などの症状を認めます。しかし厄介な事に、このうつ状態は殆ど全ての精神疾患に認めると言っても良いくらい頻度の高い症状なのです。それ故、患者さんがうつ状態を呈しているからと言って、直ぐに「うつ病」と単純に診断出来る訳ではありません。特に治療の初期段階ではあらゆる精神疾患の可能性を念頭に置いて治療を進めて行きますので、「うつ状態」=「うつ病」と単純に診断する事が出来ず、「うつ状態」と診断する事になるのです。
如何でしたか?少し状態像診断に付いてイメージ出来る様になったでしょうか?
これまで精神科で診断書を貰った事のある方は「○○状態」と診断書の病名欄に記載されていたのを御覧になった事があるかもしれませんが、それは以上の様な理由であったと思います。
職場に診断書を提出した際に「なんだね、この変な病名は?」と質問された時の参考にして下さい。