精神疾患と性機能障害には密接な関係があると考えられていますが、なにぶんデリケートな話題であるため患者さんより相談されるケースは多く有りません。しかし、性機能障害で苦しんでいる患者さんは、かなり多いのでは無いかと想像しています。このため、今回は敢えてこの様なテーマを取り上げる事としました。
今回、この様なテーマを取り上げようと思ったのには、10年以上前に経験した一つのエピソードが関係しています。
ある日、うつ状態で通院中の患者さんの奥さんが一人で私の所にいらっしゃいました。どの様な用件かと思っていると、その方は旦那さんに射精遅延が起こっている事を非常に気になさっており、その相談のために来院されたのでした。精神疾患や向精神薬の内服で性機能障害が起こる事はあり得ますので、この様な事を相談されるのは当然と思っていましたが、パートナーの方から相談を受けるとは全く予想もしていませんでした。この経験で性機能障害は当事者のみで無く、そのパートナーの方の尊厳にも関わる非常に重大な問題である事を思い知らされました。
今後、性機能障害の問診票を作成し当院ホームページよりダウンロードして頂ける様に準備をしたいと計画しています。この問診票に必要事項を記入、診察時に主治医に直接渡して頂ければ済むようにしたいと思っています。また、折角相談して頂いたのに治療法が無いのでは意味が無くなってしまいますので、ED治療薬の処方も可能な体制を整えたいと考えております。このテーマに付いては今後何回かに分けて、詳細に取り上げたいと思っていますので、もう暫くお待ち下さい。